貧乏国ニッポン(著者:加谷珪一)

読書

日本なら高所得の年収1400万円が米国では低所得。

諸外国では富裕層ではない人が1億円のマンションを購入している。

日本は価格という面で諸外国から完全に取り残されているという話は、海外によく行く人の間では数年前から常識となっていた。

本書は、日本という国が諸外国から見て安い国になってしまった現実と、その原因、そして対処法について解説されている。

一通り読んで、今まで自分が感じていた経済の肌感覚と、日々見聞きする報道とのギャップのようなものをピンポイントで解説してあり勉強になったため、一部ご紹介したい。

・戦後最長の経済成長のウソ

日本経済は過去20年間ほとんど成長できていない。しかし政府は2012年12月から景気拡大が続いており、これは戦後最長の景気拡大であると喧伝している。一部のメディアはこうした政府の方針を受け、「戦後最長の景気」、「日本経済は力強く成長している」といった報道を繰り返してきた。しかし生活実感として日本経済が力強く成長していると認識する事はできなかった。その理由として、内閣府は景気の状況を示す景気動向指数を使って景気の良しあしを判断しているが、その数値がプラスかマイナスかという部分で景気の拡大・縮小が判断されている。その際プラスとマイナスの幅は関係なく、ごくわずかな数値であっても前年比でプラスになっていれば景気は拡大されていると判断されていた。そのため実際は景気はほぼ横ばいだったとしても、ごくわずかプラスになっていれば景気拡大が続いていると解釈されていた。しかも恐ろしいことに、その期間中に諸外国の経済が1.5倍から2倍に拡大しているので、それは実質的にマイナス成長と同じことであった。

・インフレの原因となる2つの事象

 ・ディマンドプル・インフレ:主に景気が良いときに発生するインフレで、好景気の時に小売店の店主が値上げをするというメカニズムに近いもの

 ・コストプッシュ・インフレ:何らかの理由で、ある製品が著しく上昇し、これが最終製品の価格を引き上げた場合、景気の動向に関係なくインフレが進む。オイルショックがこの典型。景気が悪い状態でコストプッシュ・インフレによってインフレが進むことをスタグフレーション(賃金が上がらないのに物価だけがあがること)と言う。日本は約30年の間経済成長はほぼ横ばいの中、諸外国の成長がどんどん進んでいる。その結果、諸外国の物価があがり輸入品の価格が相対的に上がってきている。原材料など輸入品に多くを頼っている日本ではこれがコストプッシュ・インフレの要因となる可能性が高く、このまま経済成長できないとスタグフレーションを引き起こす可能性がある。

・日本はすでに消費と投資で経済を動かす国

日本は戦後、ほぼ一貫して貿易黒字を計上しており、特に2980年代以降については、毎年10~15兆円もの黒字額となっていた。しかし2000年代半ばから黒字が減少し、2005年には貿易黒字と取得収支(海外への投資から得られる投資収益)が逆転している。つまり日本はこの頃を境にすでに輸出ではなく投資で稼ぐ国になっている。

・インバウンド需要やオリンピックへの期待というのも形を変えた輸出

外国人観光客の買い物は確かに日本国内で発生しているが、購入しているのは外国人のため、製品を輸出して代金を受け取っていることと本質的には同じ。

・日本が持つ資産

日本は人口が減少していくので、今後消費の絶対値もそれに合わせて低下することが予想され、これは避けようがないが、それでも一定以上の生活水準を保ち、同じ言語を話す1億人の単一消費市場が存在している国というのは世界を見渡してもそう多くなく、これは日本が持つ大きな資産である。

ちなみに冒頭の年収1400万円は米国では低所得と紹介されているが、これはサンフランシスコ近郊のシリコンバレーと呼ばれるハイテク産業が集積したエリア限定の話である。この詳細を含め内容が気になった方はぜひ本書を手に取って頂ければとお勧めしたい。

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