自閉スペクトラム症(著者:岡田尊司)

読書

自閉スペクトラム症(ASD:Autistic Spectrum Disorder)

これは、今まで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などと呼ばれていたものを2013年に一つにまとめた名称である。

自閉的とは心を閉ざすということではなく、自分と異なるものを受け入れるのに抵抗が強いことである。自閉的な傾向が強く、日常生活や社会生活に支障が出る状態が「自閉スペクトラム症」となる。

現代社会の流行病とも言われ、日本での有病率は5%に達するかもしれない。

長年信じられてきた定説では、自閉症スペクトラム症は、遺伝子要因が八割にも達する先天的な障害とされてきた。しかし、20~30年の間に、有病率が目に見えて上昇しており、遺伝要因の強い障害という前提に疑問符が付き始めている。

自閉スペクトラム症の有病率は先進国ほど高く、アフリカや南米では非常に低い。そのため近代化した生活における何らかの要因が増加を引き起こしているのではないかと疑われている。

環境要因として、①薬物や重金属の物質的要因、②晩婚化、③分娩時のトラブルなど産科的要因、④虐待やネグレクトなどの養育要因、⑤情報環境などの可能性が考えられている。

現在では、遺伝要因も一部に関与するものの、それだけで発症するわけではなく、色々な要因が重なる事で発症に至ると考えれらている。

本書では、自閉スペクトラム症の概念自体にパラダイムシフト(常識とされてきた基本概念の転換)とともに、それは治療の分野にもおきており、今や遺伝子さえも(!!)環境的な働きかけによって変えられると考えられている。早い段階でトレーニングを行えば、完全に回復する事も可能になろうとしている、と述べられており、様々な方法が記載されている。

本書を通して気になったポイントを以下に記載する。

・言語的・知的遅れがみられるカナータイプ

言語的な発達や発達全般の遅れが目立つタイプ。適切なトレーニングを行わないとコミュニケーションや社会性、知能に重い障害が残りやすい。一つの事にしか関心がなかったり、過敏だったりといった症状も強くみられることが多く、決まりきった生活パターンを繰り返している範囲では安定しているが、それが少しでも乱されると、パニックを起こしやすくなる。回復が非常に難しいとされてきたが、ブレイクスルーとなるアプローチが見いだされ予後は格段に改善し、まったく健常者と変わらないレベルまで回復するケースもある。

・言葉や知的遅れのないアスペルガータイプ

理屈っぽかったり、口が達者だったりして、コミュニケーションの問題に気付かれにくい場合があるが、よく観察すると話が一方的で独演会になってしまい、本来のコミュニケーションになっていない。症状は比較的軽度だが、同じ行動パターンや狭い関心へのとらわれがみられたり、過敏な傾向がある。

・閉眼ステッピング

しばしば自閉スペクトラム症に伴う特性として、運動や手先が不器用な傾向がみられる。子供の発達の問題を見分けるのに要綱な検査の一つとして「閉眼ステッピング」がある。目を閉じて、両手を振って足踏みをする。発達に課題のある子の場合、そもそも足踏みがスムーズにできない。手足の動きのタイミングやバランスが悪い、などが見て取れる。

・自閉スペクトラム症と記憶力

自閉スペクトラム症の人では、優れた記憶力を示す場合がある。何年も前のある日が何曜日だったかを覚えていたり、一度聞いただけの映画のセリフや物語を忠実に再現したりする。特異な能力は年齢とともに失われていくことが多いが、それでも概して記憶力がいい傾向は残り、自閉スペクトラム症の人にとって強みとなる。法律家や医師、薬剤師など膨大な知識を必要とするような資格や職業には有利と言える。

・様々な機能改善アプローチ

 ・ヴィジョントレーニング

 ・頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラル・セラピー)

 ・ポリヴェーガルセラピー

 ・アナットバニエルメソッド

これら、気になった方はぜひ本書を手に取って頂ければと思う。

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